耳下腺腫瘍〜入院4日目・手術当日〜
6時にアルジネードウォーターというスポーツ飲料的なものを飲み、その後は8時に水分禁止に。
10時45分ごろから手術着に着替え、病室から手術室へ出発。
もう、まな板の鯉。
夫とあまりろが手術室の入り口まで送ってくれた。
そこからは、看護師さんに付き添われ、私一人で行かなくてはならない。
なんだか、一人で三途の河を渡って行くようで、とても寂しかった。
あっちの世界(手術室)では、麻酔科医と看護師さんたちが賑やかに準備をしていた。
自分で台の上(案外狭い)に横になり、麻酔科医が点滴の横から麻酔薬を加えると、
数秒、ぐるぐる目眩がしてシャットダウン。
あまりろと楽しく過ごしていた。
ら、看護師さん(たぶん)にけたたましく名前を呼ばれ、我に返った。
あまりろの夢を見ていたのだ。
こっちの世界に帰って来た。
が、なぜか目を開けられない。
「息をしてください」という声に応え、意識的に呼吸するけど、
気をぬくと息をするのを忘れてしまう。
しかも恐ろしいことに、「このまま息をしないでいたい」という気にすらなる。息をしても、なんだか息苦しい。
手術したあたりにひどい創傷のような痛みを感じる。
ぐるぐる目眩をする私を乗せて、ベッドは病室に向け戻っていく。
歩いて行った手術室は遠かったのに、麻酔のせいか、気がつくともう病室だった。
この間、視覚は全く無く、耳と感覚だけの世界。
どうやら病室では、慌ただしく酸素や管の準備がされている。
聞こえてくる会話を聞いていると、お義父さんだけが病室にいるようだった。
夫に迎えて欲しかったけど、夫はどこかであまりろの相手に忙しいのだろう。
仕方ない。
そのうち、
夫とあまりろ、義兄嫁、お義母さんが来て、私は(閉じたがる目を)一瞬だけ開けて挨拶した。
コナンちゃんも来てくれていた。
自分がどんな状態なのかわからなかった。
今思うと、「そこ?!」って感じだけど。
コナンちゃんに「脚の間からも管出てる?」と聞くと、コナンちゃんは意を介さないまま足もとを覗いて、「無さそう」と言った。
カテーテルは無いんだ・・・地味にホッとした。
手術室から戻ってきた14時ごろから夜20時の面会時間終了まで、
コナンちゃんはベッドサイドに残ってくれた。
30分ごとに看護師さんがバイタルとドレーンの確認をしに来る度に起こされるけど、
すごい眠気に襲われhanaは朦朧と眠り続けていた。
術後2時間で看護師さん同伴でトイレに歩いて行き、
夕飯(重湯と具のない味噌汁と変な高カロリードリンクとヤクルト)も出て来た。
20時前、コナンちゃんと「そろそろ時間だね」と話していたら、
カーテンの向こう、廊下から
カラカラカラカラという音が近づいて来た。
なんだか妖怪が来るような怖面白さを感じて、コナンちゃんと顔を見合わせた。
音が病室の前まで来ると、カーテンがシャッと開いた。
夫とベビーカーに乗るあまりろだった。
可愛い妖怪さんにコナンちゃんと顔を見合わせて笑った。
夫は義父母を連れて一旦帰ったものの、またちらっと見にきてくれたらしい。
そして、コナンちゃんと3人で仲良く帰って行った。
みんな、今日はありがとう。
その後、20時以降の記憶は無い。
ドレーンや点滴など管だらけの上、耳周辺に大きなガーゼが貼ってあり、動くのも怖いし苦しい。
こんな状態で一晩中眠れなかったら怖いな、と怯えていたけど、
麻酔効果の残りか、朝までぐっすりでした。